その日 タモリは私に微笑まなかった

先日ある友人と半年振りくらいにあった。カフェで待ち合わせしばらく世間話をしていると彼女は唐突にある報告をしてきた。

 

友人「この前髪切ったんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

私「え、嘘でしょ?」

 

瞬間 否定。私は彼女が髪を切ったという事実を受け入れられなかった。それ程までに彼女の髪は半年前と変わる事なく前髪パッツン黒髪ロングの貞子スタイルだった。もし私が井上織姫だったなら彼女は高い金を払いもう一度髪を切らなければならなかっだろう。

 

 
すると彼女は「乙女の変化にはちゃんと気付かなきゃダメだよ〜」と私にダメ出ししてきた。一体君のどこが乙女だというのだ。パンケーキを頬張りながら発した「こんなに女子力高い食べ物久しぶりに食べた」という君の言葉を私は聞き逃してはいない。それに私は人の変化には良く気づく方だ。1ヶ月振りに帰ってきた兄を一目見て腕時計が変わった事に気付きオヤジに「キャバ嬢みたいだな」と褒められるくらいだ。

というかその褒め言葉はなんだクソオヤジ。50年も生きてきてそんな事しか言えないのか。それこそキャバ嬢レベルの褒め言葉の1つや2つ覚えてくれ。

 


話しを戻そう。彼女の顔付近をまじまじと見ても変化には気付けなかった。強いて言うならその日の彼女はチークが少し濃くて貞子というよりはオカメみたいだった。

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観念してどこを切ったのか尋ねると背中にかかっていた部分を5cm切ったと言うのだ。たしかにその日は毛先が肩甲骨あたりにかかっていた。
こんな些細な変化に気づけるはずがあろうか。気が触れているレベルで気遣いが出来るという意味で"キチガイ"と呼ばれている私でもそれを求めるのは無理があるのではないのだろうか。せめて前髪なら気付けたであろうに。そんなに気付いて欲しいなら髪を真っ赤に染めるとかしてくれ。そうすれば"今日の君は太陽のようだ"と最高の賛辞を送れたのに。
たかだか5cm後ろ髪を切ったくらいで気付いて欲しいだなんて図々しにもほどがある。断言するが君は僕が背中にゴキブリのオモチャをくっつけていても絶対に気付かない。どころかテントウムシサイズでも気付かないであろう。


テントウムシで思い出したが以前私の手にテントウムシが止まった時、お前はテントウムシが中々離れず慌てていた私を見て大爆笑していたな。結局1分ほど格闘した挙句黄色い体液をかけられ帰って石鹸で洗うまで取れなかったわけだがその日は1日中その汚れを見る度に爆笑してくれたな。貴様のその時の無礼と今回の我の無礼、相殺出来たりはしないのか?

 

 

嫌な思い出が蘇りヒートアップしてしまったがよくよく考えると私にも落ち度はあった。
数日前、遊ぶ予定を立てていた時彼女は「今美容院だから返信遅れる」とちゃんと言っていた。もしかしたらこれが気付いて欲しいアピールだったのかもしれない。
気付かないまでも「君は木村多江似の幸薄美人だから顔ばかり見てしまった」とでも言ってフォローしておけば良かった。

 

 


要するに私の心にはタモリ分が少し足りなかったのだ。会った時に「髪、切った?」と言えば良かったのだ。数日前美容院に行っていたことをちゃんと思い出すだけで済む話だったのだ。

 

 


しかし私の心の中でちゃんと成長しなかったタモリはその日私に微笑まなかった。

 

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