友人が追加発注を認識していたかどうかなんてことはどうでもいいから自動ドアは早く俺の存在を認識してくれ

先日社会人の友人からLINEが来た。内容は友人が頼まれていた追加の発注をしておらず上司から叱られたというものだった。友人曰くそんな話は聞いていなかったのに理不尽に怒られたとの事。要するに仕事の愚痴だった。

 

私はそれを聞いて大変だったな、などと返信していたような気がする。だが別に同情をしていたわけでもない。そんな話は心底どうでもよかったのだ。私は木製の二段ベッドの下の段で寝ているが、その毎日の始まりと終わりに目にする天井の木目の数よりどうでもよかった。同情的な言葉を発したのはどうでもよかったので話を早く終わらせようとしたにすぎない。小学生の頃から友人に腹黒、陰険と呼ばれている私の性格は生涯変わる事は無いのかもしれない。

f:id:Winery-V:20181106183306p:plain

 

 

話が脱線したがそんな事より自分には重要な事がある。それは自動ドアが俺の存在を認識しない事だ。正確には認識しないのではなく認識するスピードが遅く範囲も狭いのだ。お前の守備範囲に入ったと思ったら反応しない事はザラだ。それにお前を通り抜けるとき1度立ち止まらなくてはいけないよな?その時の時間がなぜあんなにも長いのだ。普通の人が1秒で良いところ俺は1.5秒待たされている。この0.5秒は一体何の時間だ?今日の晩飯の事でも考えているのか?

お前の反応の速さと守備範囲は他の人の時は全盛期イチロー並みなのに俺の前では何故晩年の金本になるのだ?そんなんだからお前はオートマチック界の話題をルンバに掻っ攫われるのだ。

 

f:id:Winery-V:20181106182952g:plain

 

 

それとも何か俺の方に問題があるというのか?もしかして身長が低いとセンサーに反応しづらいとかするのか?しかしいくら低いと言っても俺の身長は女性の平均よりは高い。だとすれば多くの女性が俺と同じ問題を抱えていなければおかしい事になる。しかしそんな事を女性から聞いたことなんて1度だってない。もしかして男ならある程度の身長が無いと反応しないとかそういう差別をしているのか?

人類が文明を築いて数千年。数千年前から肌の色が違うだの信仰している神が違うだのと同じ人間同士だというのに差別を繰り返してきた人間達。そんな愚かな人間によって生み出されたお前も捻くれちまったって言うのかよ。そんな哀しい事をしなきゃ己を表現できないって言うのかよ。

f:id:Winery-V:20181106183446j:plain

 

 

 

 

思えばお前に無視され始めたのはいつだっただろうか。そうだ、進学して上手くクラスに馴染めなかった中学時代からだ。クラスで空気扱いされお前からも空気扱いされる日々。お前は俺のクラスメイトでもないクセに敏感にクラスの空気を読んだとでも言うのか?お前に無視されたあの時俺は本当に酸素と水素と窒素で体が構成されたニュータイプにでもなったのかと思った。お前の態度は中学時代、俺が席を外している間に勝手に席に座り俺が戻ってきても我が物顔で座り続けていた野田と一緒だ。

なあ自動ドア、俺はお前の事を嫌いになりたくはないんだ。だから俺が大嫌いだった野田と同じ事をするのはもうやめてくれないか。

 

それ以前はお前とはどうやって付き合っていたんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ…そうだ、思い出した……

 

 

それ以前は俺の方がお前に辛く当たっていたんだった…

 

 

 

小学生の頃はまだ俺も無邪気なものでお前目掛けて走りこんでいた。もちろんお前とタイミングが合うわけはなくお前にタックルを食らわせていたな。さらにそれ以前は家に帰ってきた時母がカバンから鍵を取り出す間、理不尽に外側からお前を叩いた事も1度や2度じゃなかったな。それらの狼藉はあの頃の俺のスピードやパワーを考えるとお前にとっては乗用車に自転車が突っ込む程度のダメージだったのだろう。命の危機になる事は無い、ましてや傷すらつかない、それくらいのものだったのだろう。しかしそれを何度も繰り返しやられたら誰だってキレる。俺だってキレる。ぶつけてきたチャリンコ野郎を地中海に沈めたいと思うくらいにはブチぎれる。お前もきっとそんな気持ちだったのだろう。

 

なあ自動ドア、お前の態度があの頃の事に起因しているのなら謝る。だから機嫌を直してくれないか。俺はこの先50年はお前の面倒になるつもりなんだ。お前は50年経ってもそのままの態度をとり続けるというのかよ。

 

あと30年もしたら惑星間戦争が始まり地球にもエイリアンが攻めてくるかもしれない。その時お前は今より格段に進化を遂げ地球人とエイリアンとを見分け、有事の際は地球人が通る瞬間だけ凄まじい速さで開閉しエイリアン相手は絶対に通さない強固な壁となっているはずだ。その時になってもまだお前は俺に心を閉ざしたままだって言うのかよ。エイリアンに追われている俺を見殺しにするというのかよ。

f:id:Winery-V:20181106191441j:plain

 

 

 お前があの日々の事を許せないのはいい。見殺しにされたってそれは当然の報いなのかもしれない。

だがお前だって知っているはずだ。ロボット工学三原則の存在を。そしてその内容も。

 

ロボット工学三原則 第一条

ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

 

 お前はロボットではないけれど機械であることには変わりない。俺を見殺しにしたせいでお前は不良品扱いされ処分されてしまうはずだ。50年も前の恨みでお前自身を犠牲にする意味なんてないはずだ。俺はお前からどんな仕打ちをされても良いと思っているがお前を道連れになんかしたくない。だからその閉ざしてしまった心も道も、俺に開けてはくれないか。

 

 

 

 今は上手くいかない俺達だが上手くやれていた時期があったのを思い出した。俺が家族に連れられて初めてマンションに越してきた3歳の頃。それまで住んでいた団地には自動ドアが無かったからドアが勝手に開いた時俺は驚嘆し、感動を覚えた。当時の俺は歩いてお前を通過することが多かったし、走っても速くないのでお前にぶつかる事も無かった。通過するのが遅い分お前に長く仕事をさせたと思うがそんな俺をお前は決して急かす事なく慈愛に満ちた聖母のような心で俺の歩みを見守ってくれていたんだ。俺はそんなお前への恩も忘れ、お前に酷い仕打ちをしてしまった。繰り返すがその事は本当に反省している。

 

 

 

 

色々書き連ねてきたが今の俺にはお前の気持ちが分からない。なあ、こたえてくれ自動ドア。お前は今何を思い、何を考えているのかを。言葉なんて要らないさ。ただお前は道を開けてくれるだけで良い。

 

 

 俺と自動ドアお前 もうあの頃には戻れないのかよ

 

 

にほんブログ村 その他日記ブログ ダメ人間へ

 


Fate/Grand Order Original Soundtrack I(初回仕様限定盤)