猫をも殺すと言うけれど
大学は人生の夏休みとも称される事があるが彼らの頭には四季が降りてきたのが如く赤、緑、紫、茶と様々な彩を見せる。
しかし彼らも高校時代までは染髪をせず地の色で過ごしていた者が大半だろう。
だがいつの時代も権力に歯向かう者が必ずいる。
私の通っていた高校も例に漏れず染髪を校則で禁止していたが「部活で日に焼けた」などと言ってどうにか髪を染めようとする輩も多く教師と生徒のいたちごっこが続いていた。
そして3年生の夏、友人Tも反逆者になろうとしていた。
しかも生半可な反逆ではない。彼は金に染めると豪語したのだ。
どうやら夏休みの間はバレないだろうと思いその間に染めようと画策していたようだが3年の夏は就活があり夏休みでも学校に来たり企業に行ったりしなければならない。
だが5回書いたら停学になると噂されていた反省文を15回書いたTを止められる者は誰もいなかった。
私はTの行動を称賛する訳でも無く否定する訳でも無く、せいぜいこっちに迷惑をかけないようにやってくれと無関心を示していた。
しかしTは夏休みを前に斜め上の変化を遂げる事になる
7月某日 水泳の授業前着替え室でTはおもむろに私を呼び一言「染めた」と告げた。
しかしTの髪は以前と変わらず黒いままだ。
困惑していると彼は腋を開け”ソレ”を私に見せつけた。
T「真っ金金★」
こいつ本物のアホだ
ブログで裸晒している私が言えたことでは無いかもしれないがそれでも言いたい。アホだ、アホすぎる。
一目では分かり辛かったがTは腕毛とすね毛も金に染めていた。染料が肌に触れるのは痒くて途中で止めてしまおうかとも思ったらしいがやり切ったらしい。そんな事を無邪気に笑いながら語った。要らない情報を教えつつ笑顔を振りまくな
彼の行動が理解できないまま私は外人モノのヌード雑誌とかポルノビデオで稀にみるブロンドの腕毛って本当に見え辛いんだなぁと朧気ながら考えていた。
訳が分からな過ぎて性癖の事など考えてしまったがそんな事はどうでも良くて、大事なのはTがなぜ体毛を金色に染めたのかという事だ。それも学校で最も肌を晒すイベントである水泳の授業にかぶせて。
本番の前の実験なのかはたまた体毛金色フェチの女にでも惚れたのか。もしかして陰毛も染めたのか。それは聞けなかった。
Tは私の問いに先ほどの倍の輝かしい笑顔で答えてくれた。
好奇心は猫を殺すというがその後Tが